ご来場いただいた皆さま、応援を寄せてくださった皆さま、本当にありがとうございました。
「鳥を探す」シリーズは、つまりは自分の生きる場所を広げようと格闘を続ける者たちの物語群でした。
戦禍の地で、あるいは大きな地震のあとで、そしてまた、わたしたちの生きる社会の周縁で、ひっそりと呼吸を続ける者たち。
おとぎ話の力を借りて、言葉を失うほどの悲惨に抗する、優しく、恵み深い場所を見つけようとしました。
それは僕たちなりの不器用な「弔い」のかたちでもありました。
日々は続き、また波立ちます。タイトルこそ「旅の終わり」ですが、いいえ、終わってたまるものか。
いくつもの格闘の方途を試そう。硬直しないように気をつけよう。また次に向かいましょう。
それでは『青い鳥』(堀口大學訳)のおしまいのページを!
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チルチル「このぐらい青ければいいの?」
娘「ええ、これでいいのよ。」
チルチル「ぼくもっと青いのも見たんだよ。でもほんとに青いのはね、それこそどんなにしてもつかまらないんだよ。」
娘「かまわないわ。これとてもかわいいわ。」
(……ふたりがまごまごしているすきに鳥は逃げて飛んで行ってしまう……)
娘「(失望の叫びを上げて)かあさん、逃げちゃった。」
チルチル「いいよ。泣くんじゃないよ。ぼくまたつかまえてあげるからね。(舞台の前面に進み出て、見物人に向かい)どなたかあの鳥を見つけた方は、どうぞぼくたちに返してください。ぼくたち、幸福に暮すために、いつかきっとあの鳥がいりようになるでしょうから。」
幕