ずうっと以前から、一緒に芝居をしたいなあ、と思っていた方々が、今回多数参加してくださいます。
スタッフもキャストも、たぶん変態ばかり。変態大好き。
*
稽古がはじまると心の何かが生き返る。
自他の過剰と欠落を、あたりまえに肯定できるようになるからかも。
*
稽古場の廊下にゴキブリがあらわれて、りょうちゃんこと大田怜治さんがおもむろにサンダルを脱ぎ、すぱんとやっつけた。やっつけたそいつのヒゲとほどけた脚を、むんずと指先でつまんで言った。
「うちの部屋にもよく出るんですけど、最近ためらいがあるんですよね。ほんとにやっつけていいのかって、一瞬思う」
生きているものだからね。
そうして何でもないことのように、トイレにそいつを運んでいった。かっこうよかった。
*
読み合わせの前の空いた時間に、さくらさんこと櫻岡史行さんがずうっと筋トレと発声練習をつづけていた。
さくらさんは五年ぶりに役者業を復活させる。
最初の打ち合わせのとき、あるいは真夜中の電話で、おれ、からだ作りしっかりやるからね、と何度もおっしゃってくださった。
ダンスやミュージカルの舞台を作っていたさくらさんは、やっぱりからだがキレキレだった。
一分一秒もおろそかにせず、前に向かおうという姿勢が嬉しく、ほんとに頼もしい。稽古場がきちんと泡立つ。
本当はみんなにそれが感染して、ひとりずつ立ちあがって台本を放り投げて、てんやわんやの肉練パーティーがはじまるといいのに、と思っていた。
*
ざわさんこと宮脇由佳さんが、夏のお嬢さんとしか言いようのない素敵なお召し物を着てらっしゃった。
麦わら帽子がくるりと風にひらめいた。
ゆっくりと夏が終わる。
はたの。